
肘を動かすと痛い! 変形性肘関節症の症状・原因・治療方法
こんな医療記事、見たことない!
この記事は、日本一分かりやすい変形性肘関節症のコンテンツを目指して作成しています。一般の方には必要ない専門的な情報を省き、図やイラストを多用することで、サッと読むだけ(赤太字だけを読めば、1~2分で概略が分かる。)でも理解できるようにしました。医師監修のもと、信頼性の高い情報のみを取り上げています。

肘を動かすと痛みが走り、関節の曲げ伸ばしが十分にできない。もし、このような症状でお悩みでしたら、それは変形性肘関節症が原因かもしれません。
放置すると、痛みが悪化するばかりか、手の指にまで症状が及ぶこともあります。肘を動かせない、ものを持てないなど、日常生活に支障をきたす恐れもあるため、早めの対策が重要です。
この記事では、変形性肘関節症の原因や症状・治療方法について、イラストや図を使って分かりやすく解説します。
変形性肘関節症とは
加齢や肘の使い過ぎなどによって、肘関節の軟骨がすり減ったり骨が変形したりする病気です。
- 肘関節は上腕骨・橈骨・尺骨の3つの骨で構成されている
- 肘はスポーツをしたり荷物を運んだりする際に大きな負担を受けるため、肩関節や手関節に比べて変形性関節症のリスクが高い。

※ 骨棘とは、関節の使いすぎなどによって生じた骨の突起。
※ 遊離体とは、すり減った軟骨や骨のかけらが関節内部を動き回っているもの。
変形性肘関節症になりやすい人

肉体労働者
大工仕事や荷物の運搬など、肘への負担が常にかかる仕事をしている人に多く発症しています。

スポーツをしている人
野球やテニスなど、肘への負担が大きいスポーツをしている人も変形性肘関節症になりやすい傾向にあります。

高齢者
関節軟骨の水分量は加齢に伴って減少していくため、高齢になるほど負担を受けやすく、発症しやすくなります。
変形性肘関節症の症状
症状一覧
変形性肘関節症によって現れる症状を一覧できるように図にしました。

症状の現れ方
変形性肘関節の症状の現れ方を順を追って説明します。

症状の推移
肘を酷使した際に痛みが出る
長時間作業を続けたときやスポーツをしたときなど、肘に負担がかかった際に痛みが出ます。
肘の動きが制限される
肘の曲げ伸ばしをしただけでも痛むようになり、動きが制限されます。
手の指がしびれる
手の薬指から小指にかけてしびれが起こります。
握力の低下
指のしびれによって手に力が入らなくなり、握力が低下します。
変形性肘関節症の原因
変形性肘関節症は加齢や肘の使いすぎなどによって発症しますが、関節の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか? 発症までの流れを詳しく解説します。

原因と発症までの流れ
軟骨がすり減る
長年の使用や繰り返される負担によって、関節の中でクッションの役目をしている軟骨が徐々にすり減っていきます。
骨同士がぶつかり合う
軟骨がすり減ってしまうことによって、関節を構成する骨同士がぶつかり合うようになります。
骨棘(骨の突起)ができる
こすれ合うことによって骨が変形し、肘の外側に骨棘と呼ばれる骨の突起ができます。
骨棘のかけらが遊離体となる
さらに骨がぶつかり合うことで骨棘が折れ、そのかけらが遊離体となって関節内に残ります。
遊離体が関節に引っかかる
肘を動かす度に遊離体となっている骨のかけらが関節に引っかかり、激痛を生じるようになります。
尺骨神経の圧迫
骨の変形が進行し尺骨の神経が圧迫されるようになると、手の薬指から小指にかけてしびれが起こります。
変形性肘関節症の検査・診断方法
肘に痛みを生じても、それが変形性肘関節症かどうかを自分で確かめるのは困難です。そこで、病院での検査・診断方法について解説します。

問診
現在の症状や病歴、職業やスポーツ経験の有無などを確認していきます。
画像診断
X線検査を行い、関節軟骨のすり減りや遊離体があるかどうかを観察します。
変形性肘関節症の治療方法
変形性肘関節症の治療方法は、大きく分けて保存療法と手術の二つです。症状の度合いに応じて、必要な治療方法が選択されます。
保存療法
症状によって日常生活の動作に不自由がない場合は、まず保存療法を行います。

日常生活の指導
肘に負担がかからないよう、日常生活で気をつけるポイントを指導します。肘のストレッチや筋力強化方法を指導することもあります。
温熱療法
関節を温めることで血液の循環を整え、痛みやこわばりを和らげていきます。
湿布・内服薬の処方
痛みに対しては、湿布や痛み止めの内服薬を処方します。

装具で肘を固定
肘関節が変形していたり不安定になっていたりする場合は、肘関節装具で肘を固定することもあります。

局所注射
痛みが強い場合には、肘関節に鎮痛剤や局所麻酔剤、ステロイドなどを注射することもあります。
手術療法
保存療法を行っても改善せず、日常生活の動作に不自由をきたしている場合には、手術療法を検討します。

関節遊離体摘出術
すり減った骨のかけらによって関節の動きが悪くなっている場合には、肘関節を切開し、関節の動きを阻害している骨のかけら(遊離体)を除去する関節遊離体摘出術を行います。

人工肘関節置換術
関節の変形や損傷が大きい場合は、傷んだ関節を人工の関節に置き換える人工肘関節置換術を行います。
まとめ(病気に気付いたら)

放っておくと
肘の動きが大きく制限されてしまい、食事や着替えなど、日常生活の動作に不自由をきたす恐れがあります。
症状に気付いたら
肘関節の違和感や手のしびれに気付いたら、早めに整形外科で診察を受けることをおすすめします。